鹿児島徳洲会病院

診療科紹介 / Foreign consultation

鹿児島徳洲会病院の診療科目をご紹介いたします。

外科・消化器外科

診療内容

鹿児島徳洲会病院外科・消化器外科は消化器・肝胆膵外科手術を中心に乳腺・甲状腺外科手術、これら領域の悪性腫瘍の化学療法、腹部・骨盤部外傷まで、幅広く診療を行っています。
2016年4月より本田一郎が新院長として着任いたしました。上部消化管外科、特に胃癌が専門です。これまでも非常勤で手術指導をしておりましたが、常勤となり、さらに上部消化管外科診療の充実を図って参ります。
同じく5月より当院消化器内科に常勤として福田容久が着任しております。以降、当院で診断し手術となる消化器疾患が飛躍的に増えています。特に大腸癌は2015年の5例に対し、2016年は14例、胆嚢摘出術は11例が31例と3倍近くに伸びています。さらに以前は緊急胆道内視鏡処置は外科で行っていましたが、これも消化器内科で行うようになり、外科は手術に専念できるようになりました。
2016年から新たに毎週の術前・術後カンファレンスに医師・看護師以外の多職種が参加するようになりました。他所ではまだあまり行われていませんが、リハビリと栄養科・NSTの参加がポイントとなっています。リハはリハスタッフが自律的に術前に周術期リハの必要性についてスクリーニングを行い、それに従ってリハ介入を行うシステムとなりました。栄養科・NSTも同様に周術期の栄養障害スクリーニングと介入を行なっています。高齢者の消化器外科手術はADLの低下やサルコペニア嚥下障害をきたしやすいのですが、リハと栄養科・NSTの積極的介入によりそうした合併症を最小限にしています。

このほか、2015年7月より立野太郎が医長として着任以降、積極的に腹腔鏡下手術を導入しています。2016年は虫垂切除術15例中13例(87%)、鼠径ヘルニア手術12例中10例(83%)を腹腔鏡下に行っており、腹腔鏡下胆嚢摘出術においても開腹移行が大幅に減少しました。
また鹿児島県内でも施行施設が少ない腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術を導入し、積極的に行っています。大腸癌手術では、当院は高度進行癌が多いために腹腔鏡下手術の適応外となる症例も多いですが、2016年は14例中6例(43%)を腹腔鏡下に行いました。
2016年9月からはハイビジョン腹腔鏡システムとエネルギーデバイスThunderbeatを新規導入しています。
これまでは1日に複数の緊急手術が入るとそのすべてに腹腔鏡下手術で対応することができませんでしたが、新しい腹腔鏡システムの導入によりこれが可能となりました。その後,1日で最大4件の緊急手術(すべて腹腔鏡下手術)の実績があります。
肝胆膵領域においては立野が肝胆膵外科専門ということもあり、肝切除や膵胆道系悪性腫瘍手術も当院で行っています。 2017年、鹿児島徳洲会病院外科はさらに安全で低侵襲な手術をすすめて参ります。

2016年 鹿児島徳洲会病院外科 手術統計

総手術件数 152件
全身麻酔 104件
脊椎麻酔 1件
静脈麻酔(内視鏡下手術) 17件
局所麻酔 30件
食道  
食道裂孔ヘルニア手術(経腹) 1件  
直接喉頭鏡下食道異物摘出術 1件  
 
内視鏡的胃瘻造設術 5件  
小腸   (鏡視下)
腸管癒着症手術 2件  
小腸切除術 7件  
小腸悪性腫瘍手術 1件 (1)
虫垂   (鏡視下)
虫垂切除術(良性) 15件 (13)
結腸   (鏡視下)
人工肛門造設術 2件  
人工肛門閉鎖術 1件  
回盲部切除術 1件  
結腸半側切除(SMA血栓症) 2件  
結腸悪性腫瘍手術 5件 (3)
直腸・肛門   (鏡視下)
低位前方切除術 7件 (3)
腹会陰式直腸切断術 2件  
痔核根治術 2件  
肝臓  
経皮的RFA 1件  
開腹RFA 1件  
肝部分切除術 1件  
肝亜区域切除術 1件  
胆道   (鏡視下)
胆嚢摘出術(良性) 31件 (23)
総胆管結石手術 1件  
内視鏡的逆行性胆道ドレナージ 11件  
胆管メタリックステント留置術 3件  
内視鏡的総胆管結石截石術 2件  
内視鏡的乳頭切開術 1件  
膵臓  
膵体尾部切除術 1件  
腹膜・腹壁   (鏡視下)
【急性汎発性腹膜炎】
胆嚢穿孔
虫垂炎穿孔
大腸穿孔

1件
1件
3件
 
【ヘルニア】
鼠径ヘルニア手術
腹壁瘢痕ヘルニア手術
内ヘルニア手術

12件
2件
1件
(10)
(2)
乳腺  
単純乳腺全摘 1件  
Auchincloss手術 1件  
その他  
リンパ節生検 1件  
肝生検 1件  
下肢静脈瘤ストリッピング 1件  
CVポート造設 8件  
CVポート抜去 4件  
気管切開術 8件  
胸腔ドレナージ(膿胸) 3件  

2016年 鹿児島徳洲会病院 → 徳之島徳洲会病院 外科応援手術統計

現在、徳之島徳洲会病院は外科常勤医が不在のため、全国の徳洲会病院から外科医が応援を行っています。
当院も徳之島徳洲会病院より予定手術の依頼を受け、応援手術を行っています。
件数 11  
  (鏡視下)
胃全摘術 1件  
幽門側胃切除術 2件 (2)
虫垂   (鏡視下)
虫垂切除術(良性) 1件 (1)
直腸・肛門   (鏡視下)
高位前方切除術 1件 (1)
低位前方切除術 1件 (1)
胆道   (鏡視下)
膵・胆管合流異常分流手術 1件  
胆嚢摘出術(良性) 2件 (1)
その他    
自然気胸手術 1件 (1)
試験開腹術 1件  

2016年 鹿児島徳洲会病院外科 学会発表等

立野太郎、中村彰、本田一郎:回盲部腸重積症で発症した回腸アニサキス症の1例。
第78回日本臨床外科学会総会、東京都、11月24日、2016。

鼠径ヘルニア


鼠径ヘルニア(脱腸)とは?

鼠径部(そけいぶ)とは足のつけねの部分のことをいい、ヘルニアとは体の組織が正しい位置からはみ出した状態のことを言います。
鼠径ヘルニアとは、本来ならお腹の中にあるはずの腸管や脂肪組織の一部が、
鼠径部の筋肉(筋膜)の隙間から皮膚の下に出てくる病気です。
鼠径部に何か出てくるような違和感があり、それがお腹の中から主に腸管が脱出してくるので脱腸と呼ばれています。

鼠径ヘルニア(脱腸)は子供の病気と思われがちですが、成人や高齢者にも多くみられる病気で手術以外の治療法はありません。
成人の鼠径ヘルニアの発症頻度は45歳以上では0.7%、60歳以上では3〜4%と推定されています。
治療方法は手術しかありませんが、最近では痛みも少なく短期入院で済む新しい手術方法が普及しています。
当院では多数の腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の経験を有する外科医が着任し、積極的に腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を行っています。
また、積極的に短期滞在手術(日帰り手術)も導入しています。

鼠径ヘルニアの症状

初期症状は、立った時やお腹に力を入れた時に鼠径部に柔らかいしこりとして自覚します。
最初はピンポン玉くらいだったしこりが、経過とともに大きくなり、こぶし大以上の大きさになることもあります。
飛び出しているときにお腹の違和感や軽い痛みを感じる場合があり(無症状の場合もあります)、
手で押さえたり横になったりすると引っ込んでしまうことが特徴です。
しこりが急に大きくなって硬くなり、しこりが押さえても引っ込まなくなり激しい痛みを伴う状態を嵌頓(かんとん)と呼びます。
この病態になると非常に危険で診断が遅れると腸閉塞や腹膜炎を併発し緊急手術で腸を切除する必要性もあり、
命をかけた大手術になることがあります。

鼠径ヘルニアになりやすい人

乳幼児の鼠径ヘルニアの原因は先天的な要因が強いのですが、
成人の鼠径ヘルニアの場合は加齢により身体の組織が弱くなることが原因で、特に40歳以上の方に起こりやすくなる傾向があります。
患者様の8割のかたは男性ですが、これは鼠径管のサイズが女性の方が男性よりも小さく、比較的腸が脱出しにくい為と考えられています。
しかし高齢になってくると女性の鼠径ヘルニアの頻度も上がってきます。

鼠径ヘルニアの種類

一概に鼠径ヘルニアといっても様々なタイプがあります。
実際の手術では、確実にどのタイプのヘルニアなのかを見極め修復することが再発の少ない手術につながります。
@外鼠径ヘルニア:
最も多いタイプ。

A内鼠径ヘルニア、膀胱上ヘルニア:
見た目には外鼠径ヘルニアと同じですが病態に若干の違いがあります。
外鼠径ヘルニアと間違われて手術されると再発する原因となります。

B大腿ヘルニア:
中高年の女性に多く、嵌頓を生じやすく注意を要します。

C複合ヘルニア:
上記のヘルニアが複合して生じている状態です。
手術時に見落とされることがあり再発の大きな原因の一つと考えられます。

手術方法

鼠径ヘルニアの原因の大きな要因の一つは身体の組織(筋肉)が弱くなることにあります。
治療法は手術しかありません。しかし、手術でただ単に鼠径ヘルニアの穴をふさぐだけでは容易に再発してしまいます。
そこでメッシュと呼ばれる人工補強材を用いて筋肉を補強する方法をとります。
手術のアプローチとして大きく2つあります。一つは前方アプローチ法(お腹を切開する方法)で、もう一つは腹腔鏡手術です。
前方アプローチ法では鼠径部に4〜5cmの切開を加え手術を行います。
腹腔鏡手術ではお腹に小さな穴を3か所あけて手術を行います。
手術の要点はメッシュを用いて弱くなっている筋肉を修復することで変わりがありませんが、
腹腔鏡手術はおなかの中からヘルニアの穴を直接見てヘルニアのタイプを診断してから手術することができるため、
再発の少ない手術が可能です。
高齢になるほど手術のリスクは高くなります。
ヘルニアと診断されたら早い時期に治療を受けることが大切です。

鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術について

鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は1980年代に開発され日本では1991年に初めて行われた比較的新しい手術方法です。
日本内視鏡外科学会による2011年度アンケートでは、
鼠径ヘルニア手術は189914症例のうち24417(約13%)に腹腔鏡下手術が行われていました。
近年では腹腔鏡下手術の有用性が再認識され、手術器具の開発向上などもあり導入している施設は増加しています。
欧米の診療ガイドラインでは腹腔鏡手術が最も推奨されている術式になっています。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の長所(利点)

お腹の中から直接腸管が飛び出している孔(脱腸のあな)を見ながら手術を行うので複合型ヘルニアの見落としがなく
正確な診断はもとより確実な修復が行えると考えられています。
その他の利点として、
1.剃毛の必要がない
2.前方アプローチに比べると手術後の痛みが軽減される
3.整容性に優れる
4.反対側にヘルニアがないかどうかの確認が可能
5.両側例も同時に手術が可能、などが挙げられます。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の有用性の短所(欠点)

一つに手術に高度な技術を要することが挙げられます。
腹腔鏡手術は、お腹を切る手術とは違い、平面画像のテレビモニターを見ながら行う手術ですので外科医に高度な技術が求められます。
ヒトの指などで臓器を触れることはできず、また特殊な手術器具の使用方法や特性を外科医が習熟しなければならないことも
手術難度を上げる原因となっています。
非常に細かい丁寧な手術操作のために手術時間が少し長くなる傾向があります。

実際の手術

臍に1cmほどの穴をあけそこから炭酸ガスをいれお腹を膨らませて手術を行います。
その後腹腔鏡と呼ばれる特殊なカメラを入れお腹の中を観察します。
筋肉の弱くなった位置を正確に把握することが容易となり複合型ヘルニアの存在の有無を確認します。
また症例によっては反対側に筋肉の穴があることがあります(約10%)。
左右に5mmの穴をあけ鼠径ヘルニア修復術を行います。
お腹の傷はいずれも小さく手術直後に若干のツッパリ感があることがありますが、
手術創の痛みは少なく麻酔から覚めたら自分でトイレに行っていただき食事もすぐに開始となります。
手術翌日の検査などで問題がなければ退院となります。
両側症例も傷口は同様に小さな穴3か所だけで短期入院で対応させて頂いています。

担当医師 : 本田 一郎 / 中村 彰 / 立野 太郎
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